ワルナスビ:悪茄子(牧野博士に嫌われた)
ワルナスビ:悪茄子(ナス科ナス属)が黄色い実をつけています。 北アメリカ原産の多年草で、昭和の初めに関東地方で発見され、今ではやや暖かい地方に広く帰化しています。地下茎でふえるので繁殖力が強く、また茎や葉に刺が多いので畑の害草として嫌われています。 このいかにも嫌われ者のような名をつけたのが牧野富太郎博士で、氏の「植物一日一題」でこう言っています。 “ワルナスビとは「悪る茄子」の意である。...
View Articleノアサガオ:野朝顔(豪華な野生種)
秋も深まったというのにまだあちこちのお宅で濃紺の朝顔が咲いています。 ノアサガオ:野朝顔(ヒルガオ科サツマイモ属)の仲間のようです。 ノアサガオは沖縄原産といわれ、海岸近くの草地や崖などに生える多年性つる植物で、繁殖力が強く、関東以南では越冬し古い茎はやや木質化するので宿根草となっています。 多くの園芸種があり「琉球アサガオ」「オーシャンブルー」「宿根アサガオ」などなどの名で流通しています。...
View Articleニコゲヌカキビ:和毛糠黍(触って納得)
この地域の在来の植物相の保全に力を入れているという兵庫県立三木山森林公園内の道端に北アメリカ原産の多年生.性植物ニコゲヌカキビ:和毛糠黍(イネ科キビ属)が生えていました。 これにはいくつかの変種があるそうですが、葉に触るときめの細かいビロード状でいかにも柔らかく、文字通り和毛(にこげ)そのものでした。...
View Articleミズタマソウ:水玉草(光の水玉)
ミズタマソウ:水玉草(アカバナ科ミズタマソウ属)は、山野の日蔭または半日蔭に生える多年草で、茎は単一で直立し高さ40~60cm、8~9月白色または淡紅色の小さい花をつけます。 目立たない花ですが、よく見ると、花弁、萼片、雄蕊が2個ずつある珍しい2数性となっています。(10年8月10日記事)...
View Articleカラスザンショウ:烏山椒(黒い芳香剤)
夏、羽状複葉の葉の上に白い花をつけていたカラスザンショウ:烏山椒(ミカン科サンショウ属)(10年8月2日記事)が実をつけています。 少し遠いのでよく分かりませんが、果実は3個の分果に分かれ、熟すと赤い果皮が裂けて黒光りする種子が露出します。 和名はこの種子をカラスが食べることからきたともいわれ、鳥によって散布された種子はよく発芽し、裸地のパイオニアプラントになっています。...
View Articleウドカズラ:独活葛(こんな実がついていました)
何回か奈良春日山原始林を歩いているのに、季節はずれだったり、幹が高かったりして、なぜか葉や果実を見ることができなかったウドカズラ:独活葛(ブドウ科ノブドウ属)が、同じ春日山原始林を少し入ったところに、ほかの木を覆うように広がっているのを同行の方に教えてもらいました。 本州紀伊半島以西、四国、九州に分布する落葉性のつる性植物で他物からみついてよじ登ります。...
View Articleラッパイチョウ:喇叭銀杏(古代の植物の名残り)
秋になれば、奈良東大寺の裏大仏池のほとりに散り敷くイチョウに遊ぶ鹿は、カメラマンの人気の撮影対象です。 何本かあるここのイチョウ(イチョウ科イチョウ属)の1本の根元を探すと葉の縁がくっついてラッパ状にクルリと巻とまいた葉がいくつか見つかりました。ラッパイチョウです。...
View Articleヒノキバヤドリギ:檜葉寄生木(檜葉に似るのは枝)
奈良公園のツバキにヒノキバヤドリギ:檜葉寄生木(ヤドリギ科ヒノキバヤドリギ属)が寄生していました。細かく分枝した緑色の枝を檜の葉にたとえてこの名があります。 ツバキ科、モクセイ科、モチノキ科などの常緑樹に半寄生する常緑小低木で、高さ20cmほどになり、枝は2叉または3叉状に分岐します。枝は緑色で扁平、古くなると翼状に広がります。節が多くてそこからたやすく折れます。...
View Articleオオバヤドリギ:大葉寄生木(なんにでも寄生する)
奈良公園の一角にあるイヌガシの木にオオバヤドリギ:大葉寄生木(ヤドリギ科オオバヤドリギ属)が寄生していました。 本州関東から琉球の暖地で、ツバキ、モチノキ、マサキ、ヤブニッケイ、ハイノキ、ネズミモチ、ウバメガシ、イヌビワ、スギなどいろいろな常緑樹に半寄生する常緑低木で、若枝、葉裏、萼に赤褐色の星状毛があり、一見グミに似ています。 葉は皮質で長さは3~6cmの卵形〜広楕円形でふつう対生します。...
View Articleオリーブ(超ラッキー! ではなかった)
小豆島寒霞渓へ紅葉を見に行った際、これも定番オリーブ園へ回りました。途中バスガイドが、先端がハート形のオリーブの葉を見つけたら、四葉のクローバーより珍しいので超ラッキーだというので、探したらすぐに見つかりました。あれっと、思ってほかの枝もあたると結構見つけることができました。 どうやら、もともとそれほど珍しいものでもなさそうです。...
View Articleヤドリギ:寄生木(東西でめでたい)
12月3日、5日とヤドリギの仲間を取り上げましたが、普通の寄生木は高い木に多くて遠くからの写真しかありませんでした(08年3月2日記事)。そのヤドリギ:寄生木(ヤドリギ科ヤドリギ属)が、あるところにクリスマスの縁起物として飾られていました。 古代イギリスの伝説風習にKissing Under The...
View Articleアマモ:甘藻(別名は植物で最も長い名前)
先日NHKの自然番組で野付半島の湾内のアマモ:甘藻(ヒルムシロ科アマモ属)が紹介されていました。 平均水深1~2mという遠浅の野付湾の約70%がアマモの森で占められていて、名物のホッカイシマエビのゆりかごとして、またゴマフアザラシの夏の休息地として、あるいはオオハクチョウやコクガンなどの秋の渡りの中継地点として、さまざまな生物が野付湾やそこに生えるアマモを利用しているといいます...
View Articleジャカランタ:桐擬き(楽器と縁がある?)
カエンボク(火焔木)、ホウオウボク(鳳凰木)とともに、世界の三大花木に数えられるジャカランタ(ノウゼンカズラ科)ですが、日本では珍しいので、アフリカなど海外へこの花を見に行くツアーもあるといわれています。 そのジャカランタ、日本の気候風土にあったのか、栽培容易なようで最近では日本でも珍しくなくなっています。...
View Articleフェイジョア(見た目に似合わぬ意外な美味しさ)
知り合いの奥さんから、「一度食べてみて」とフェイジョア(フトモモ科フェイジョア属)の小さく青い実をいただきました。 花の記事を出したときはと書いています(’11年6月18日)。...
View Articleミヤコジマソウ:宮古島草(島が北限)12月18日
植物園の温室の床の下草に、誰も気づかないような小さく白い花が咲いていました。 案内の人にたずねるとミヤコジマソウとのこと。ミヤコジマとはあの宮古島ですかさらに聞くとそうだとの返事でした。 ミヤコジマソウ:宮古島草(キツネノマゴ科)は、台湾、インドネシア、ニューギニア、ポリネシアなどに分布し、海岸の崖下の砂地や石灰岩上に生育する多年草で、高さは20〜30cm...
View Articleガマズミ:莢迷(触れれば染まる)
冬枯れの山道にガマズミ:莢迷(スイカズラ科ガマズミ属)が真っ赤な実を文字通り枝もたわわにつけているのに出会いました。 12月も末なのに、どうして小鳥たちにも食べられずに残っているのかふしぎに思いながら、実をとろうとすると、たちまちつぶれて指が真っ赤に染まりました。完熟です。 ガマズミのズミは染の転訛で、昔赤い果汁で衣類をすり染めしたからという話を思いだし、なるほどと納得しました。...
View Articleボタンヅル:牡丹蔓(つつましい仙人の髭)
畑の金網の柵に何やら白いものがついて風に揺れていました。 近づいてみると何かの種のようです。すっかり枯れて黒く縮んでしまっている葉をひろげてみるとボタンヅル:牡丹蔓(キンポウゲ科センニンソウ属)とわかりました。 夏の終わりごろ咲く白い花はセンニンソウに似ていますが、ボタンヅルのほうが少し小ぶりなので良く見ればわかります。...
View Articleヤツデ:八つ手(冬の客にたっぷりお土産)12月31日
両性花:雄性期 雌性期の花:花盤に蜜が光る花の少ないこの季節、ヤツデ:八つ手(ウコギ科ヤツデ属)が大きな円錐状の花序を立て、白い小花が集まったボール状の花をたくさんつけています。 本州関東以西から琉球にかけて暖温林内に生える常緑低木で、大きな手のような葉で福を招き寄せるということから縁起を担ぎ門の脇などによく植えられています。...
View Articleサネカズラ:実葛(ユーモラスな姿)
初詣に行った小さい神社の森の裏を歩いていると、葉に隠れるように赤いものが見えました。 今の時季何かと近づいてみると、どうやらサネカズラ:実蔓(モクレン科またはマツブサ科、サネカズラ属)の実?でした。...
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