両性花:雄性期
雌性期の花:花盤に蜜が光る花の少ないこの季節、ヤツデ:八つ手(ウコギ科ヤツデ属)が大きな円錐状の花序を立て、白い小花が集まったボール状の花をたくさんつけています。
本州関東以西から琉球にかけて暖温林内に生える常緑低木で、大きな手のような葉で福を招き寄せるということから縁起を担ぎ門の脇などによく植えられています。
和名は、大きい掌のような分裂葉が多数あるのを八で表現していますが、実際には切れこみは7、9、ときには11など奇数で、八つに裂けることはありません。
木の全体を上から眺めると、大きな切れ目のある葉が、下から上までほとんど重なることなく
広がっているのに気づきます。葉柄の長さが上へ行くに従い短くなって、すべての葉にまんべんなく日光を受ける仕組みです。八つ手の名は、八つに切れ込んだ葉のことというより、いろいろな手をのばしている千手観音のような手からきているのではないかと思えてきました。
雌雄同種で、枝先に球形の散形花序を円錐状に出し、上部に花序には両性花、下部の花序に雄花つきます。両性花は枝の先端につき、咲きはじめは雄性で5枚の花弁と雄蕊がありますが、やがて雌蕊が伸びてきて花弁と雄蕊が落ち、柱頭が開いて雌性となる雄性先熟という形です。雌蕊は雄蕊が落ちてから3〜4日たってから出てきます。
花には香りがあり、冬にもかかわらず、晴れた日などには20種類ものハエ、アブが集まるそうです。雌性期の花よく見ると頭の先に滴るような蜜が光っています。ハチがいない冬に咲くヤツデは、蜜源を浅い位置に設けて、ハエのような短い口吻しか持たない虫たちにも来てもらうように工夫しています。
寒い冬に咲くヤツデは蜜をたっぷり用意して少ない昆虫を独り占めにしているようです。
2012年も暮れようとしています。
今年の最終日、気になっていた去年のむかごの日記記事集(第7集)の印刷を遅ればせながら終了し、何とか年を越せる気分になりました。
以前は1年の記事がA4で150ページほどだったのが、2011年は百ページを切りました。
掲載が進んで取り上げるべき新しい品種が少なくなったこともありますが、根気の衰えもあるようです。
数えでいうと来年は傘寿とか、みなさんのご支援を糧に今しばらくは頑張るつもりです。
どちら様もよいお年をお迎えになってください。