伊吹山の登山口付近でイヌノフグリ:犬の陰嚢(ゴマノハグサ科クワガタソウ属)に初めて出逢いました。本来日本のどこでも見られたというイヌノフグリですが、最近はもっぱら外来のオオイヌノフグリ、タチイヌノフグリや、明治以前の渡来植物であるフラサバソウなどに押されて、今では山間部に行かないと見られないほどの珍しい植物になっています。
道端や石垣の間などに見られる2年草で、茎は下部で分枝し、葉は茎の下部で対生、上部では互生します。上部の葉脇から長さ約1?の花柄を出して、淡紅白色に紅紫色の筋のある小さな花を1個つけます。
果実は?果で、長さ約3?、幅4〜5?でやや膨らみ、2個の珠をくっつけたたような形が、犬の陰嚢(ふぐり)に似ているということでこの名があります。
今ではすっかりおなじみになった仲間のオオイヌノフグリは、小さくてもきれいな花で人気がありますが、最近では相当年配の方でも“ふぐり“知らない人が多くて、ときどき植物観察で、妙齢の婦人に意味を訊ねられて当惑したという話をよく聞きます。オオイヌノフグリもタチイヌノフグリも、果実はそれほどは似ていないといえますが、さすが本家のイヌノフグリの果実は名のとおりのリアルさでした。