道端のあちこちにホトケノザ:仏の座(シソ科オドリコソウ属)が咲いています。
対生する葉を蓮座に見立ててこの名があり、葉が段々につくので三階草という別名があります。
どこにでも見られる高さ10〜30?の2年草で、葉は対生し長さ1〜2cmの扇状円形で鈍い鋸歯があります。上部の葉脇に長さ約2cmの紅紫色の唇形花をつけます。
面白いのは、蕾のまま結実する閉鎖花をたくさんつけることです。
閉鎖花は胚珠の数のわりに花粉の数が少ないのは、外に花粉を出さないので無駄になる花粉の数が少なくなっていると考えられています。*
花弁、蜜、花粉の数などすべてにわたって省資源設計となっているうえ、送粉者が来なければ結実しない開放花にくらべて確実性も高くなっています。ホトケノザは開放花で遺伝的な問題に対応するとともに、閉鎖花でともかくも効率的に子孫を増やす戦術をとっているようです。
閉鎖花を併用して効率的に繁殖を行っている植物には他にスミレや地中に閉鎖花をつくるミゾソバなどがあります。
(*注.POratio:pollen ovule ratio=花粉数を胚珠数で割った値で、受粉における資源と効率性を示す。裸子植物で風媒花のマツのPO比は約1/100,000 であるのに対して、閉鎖花のそれは1/10位といわれている。)