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Channel: 新・むかごの日記
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ヒオウギ:檜扇(枕詞になった?漆黒の種子) 

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ヒオウギ:檜扇(アヤメ科ヒオウギ属)の果皮が裂けて黒光りする実が顔を出しています。
別名、烏扇、射干ともいわれ、本州以南、中国、インド北部の山地にも自生する多年草ですが、観賞用として庭でも栽培されています。
草丈60cm〜1mで、広剣状の葉は粉白緑色で2列に互生し、下半分は昔貴婦人が使った檜の扇に似ていることからこの名があります。
真夏に咲く黄赤色地に暗紅色斑点がある花は(08年8月17日記事)、縁起がよいのか、京、大阪では夏祭りの花として欠かせません。
秋に実る倒卵形の朔果の中に、直径5mmほどの真っ黒い球形の種子ができます。これを昔からウバタマ、ヌバタマ(射干玉)といい、黒い、暗いという意味で髪や、夜の枕詞になっています。
萬葉集で“ぬばたま”を詠った歌は79首の多きに上りますが、ヒオウギそのものを詠ったものはなく、すべて枕詞や比喩的に用いられています。もしかしたら、ヌバタマの語でいまのヒオウギを意味することになったのは万葉時代以後のことかもしれません。

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