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Channel: 新・むかごの日記
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オオシラビソ:大白檜曽(晩夏の花と実・栂池自然園3)

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7月に続いて同じ年に2度も栂池へ行ったのは、いろいろありますが、ひとつには、今年は何年に一回というオオシラビソ:大白檜曽(マツ科モミ属)の球果の当たり年ということを聞いたからでした。
樹の天辺付近に成っているオオシラビソの球果を動くゴンドラの中から撮影しようとしましたがうまく行きません。中間駅でぜひ撮りたいのだがと駅員にたのむと、駅建物の普段立ち入り禁止の場所に案内してくれました。
球果は上向きにつき、長さ約10cm、直径6~10cmの楕円形で、濃青紫色です。6月に開花したその年の秋に熟し、完全に熟すと種鱗は中軸から離れバラバラになって落ちてゆきます。
オオシラビソは日本固有で、本州中部地方以北にシラビソと混生し、多雪地帯ではシラビソが欠落し耐雪性のあるオオシラビソが優先します。大木になる樹木のわりには比較的短命で樹齢50~60年を超すと病虫害に侵されやすいといいます。
青森地方に多いことからアオモリトドマツの別名があります。(8月31日撮影)

ヒロハツリバナ:広葉吊花(晩夏の花と実・栂池自然園4)

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7月初め戸隠森林公園で見かけたヒロハツリバナ:広葉吊花(ニシキギ科ニシキギ属)(7月28日記事)http://blog.goo.ne.jp/suiyoukaji/d/20120728 が、栂池で実をつけているのに出会いました。
日本海要素といわれる矮性化した常緑樹の例としてヒメアオキやエゾユズリハがありますが、逆に落葉植物の葉の大型化・広葉化も日本海要素とされていて、オオバクロモジやこのヒロハツリバナなどが大型化の日本海要素の例です。日本海側気候では、雪解け水で土壌水分が多く光合成に必要な水分が豊富なため葉が大型化したものとされています。
ヒロハツリバナは、やや標高の高い山地の樹林内に生える高さが3〜6mになる小高木で、対生する葉は長さ3〜12cm、幅2〜7cmの倒卵状楕円形ふちに細かくて鈍い鋸歯があります。
6〜7月、葉脇から集散花序を下垂、黄緑色の小花を3〜20個つけます。
ヒロハツリバナの果実の面白いところは、横に張り出した4個の翼があることで、赤く熟すと黄赤色の仮種皮に包まれた種子が顏をだすことはツリバナと同じですが、ツリバナが5裂するのに対して、ヒロハツリバナは4裂することです。(8月31日撮影)


クロクモソウ:黒雲草(晩夏の花と実・栂池自然園5)

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栂池高原を歩いて、展望湿原への登りにかかる手前に銀明水といわれる水場があります。
周遊ルートを少し外れた水場でのどを潤していると、流れの上方の岩場ににクロクモソウ:黒雲草(ユキノシタ科ユキノシタ属)が見えました。
本州中部地方以北と大峰山系、四国の亜高山帯~高山帯の渓流に沿った湿った岩場や草地に生える多年草で、高さは10~30cm、葉はすべて根生し、長さ1.5~6cm、幅2~8cmの腎円形で、縁には大きな卵形の鋸歯があります。このことからキクブキという別名があります。
ユキノシタ属には珍しい黒っぽい花は、7~8月花茎の上部に直径6~8?の小さな花を円錐状に多数つけます。花弁は黒褐色で5個あり、花盤は暗紫色でよく発達し環状に隆起し雌蕊を取り囲みます。雄蕊10個は花盤の縁につき長さ約1mmで花弁より短くなります。
和名黒雲草は花の色からで、生えている場所からイワブキという別名もあります。(8つき31日撮影)

ベニバナイチゴ:紅花苺(晩夏の花と実・栂池自然園6)

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7月初めの栂池自然園の遊歩道で、真っ赤な花で目立っていたのはベニバナイチゴ:紅花苺(バラ科キイチゴ属)が、赤い実をつけていました。http://blog.goo.ne.jp/suiyoukaji/d/20120715
中部山岳地方北部の、雪の多い日本海側の亜高山帯~高山帯の林縁や沢沿いに生える落葉低木で、よく分枝して高さ約1mになります。
葉はふつう3出複葉で、頂小葉が最も大きく広卵形で先は尖ります。
6~7月、枝先に濃紅色で長さ1.5~2cmの花を1個下向きにつけます。花弁は完全には開きません。
夏赤く熟した果実は直径約3?の集合果で食べられますが、葉影に下向きに成っているためかトレッカーに食べられることもなくあちこちに残っていました。失敬して口に含むと少々大きい種が気になりました。(8月31日撮影)

サンカヨウ:(晩夏の花と実・栂池自然園7)

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サンカヨウ:山荷葉(メギ科サンカヨウ属)については08年5月20日の記事でこんなことを書いていました。「こし高い山に咲く花は、うまく花期に合わないとなかなか見る機会がありません。サンカヨウも、夏山では何回かきれいな藍色の果実を見ておなじみなのに、花を見たのは今回の北尾根が初めてでした。」8月末の栂池高原のサンカヨウも果実でした。
本州鳥取大山以北、北海道の深山の木陰に生える多年草で、高さ30〜50cmとなり、葉は茎の中部くらいから上に楯状に2個つき、幅20〜35cmの広腎臓形で2深裂し、不ぞろいな鋸歯があります。
花は6〜8月、散房花序に3〜10個つき、萼片6個、雄しべ6個、白い花弁も6個です。
道行く人々は、白い粉をふいたような藍色の果実を見て「ブルーベリーのようだ。食べられるのかしら」などといいながら通ってゆきました。
どの図鑑にも食べられるとは書いていませんでした。(8月31日撮影)



ハリブキ:針蕗(晩夏の花と実・栂池自然園8) 

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栂池高原の遊歩道から見下ろせる低い位置に赤い実がなっていました。
ハリブキ:針蕗(ウコギ科ハリブキ属)です。
本州紀伊山地以北、四国、北海道の亜高山帯~高山帯下部の針葉樹林下に生える落葉低木で、茎は太くてほとんど枝分かれせず、高さは0.5~1mにとどまり、茎枝のは細長く鋭い刺が密生します。茎の先端に大きな葉が2~4個つき、葉身は直径20~40cmのほぼ円形で、基部は深いハート形、掌状に7~9裂し裂片はさらに不規則に切れ込み先端には不揃いな鋸歯、鋸歯の先端は針状にとがります。
花は6~7月、枝先に円錐花序をつけ直径約4mmに緑白色の花をつけます。
果実は液果で、長さ6~7mmの倒卵状球形で、赤く熟します。
ウコギ科でタラノキの仲間のように見えます。別名もクマダラ、刺が少ないのをメハリブキというそうです。(8月31日撮影)

キンコウカ:金黄花(晩夏の花と実・八方尾根6)

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八方尾根のあちこちに花が終わりかけたキンコウカ:金黄花(ユリ科キンコウカ属)が見えました。
鮮やかな黄色の花が咲くのでこの名があり、金光花とも書きます。
本州近畿地方以北、北海道の山地帯〜亜高山帯の湿原、湿地や渓流ぞいなどに生える多年草で、しばしば群生します。
葉は根元に2列に並んで互生し、長さ10~30cmの線形で先は剣状にとがります。花をつけない茎と花をつける茎があり、7~8月、花茎の上部に星形に開いた直径2cmほどの6弁の花を総状に10~20個つけます。花が終わると花弁は緑色に変わってそのまま残ります。

タカネネデシコ:高嶺撫子(晩夏の花と実・八方尾根7)

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八方池の近くにタカナナデシコ(ナデシコ科ンデシコ属)が咲いていました。
本州中部地方以北の高山帯の砂礫地などに生える多年草で、高さは20cmくらい、カワラナデシコの1変種とされています。
7~9月に咲く花は茎の先に1~3個つき、直径4~5cmで紅紫色、花弁は5個で、細かく3分の2くらいまで切れ込みます。下部は細い爪状になり萼筒の中にあります。
シナノナデシコ(9月9日記事)と違い、花が大きく、深い切れ込みがあるのでよく目立っていました。

ハッポウアザミ:(晩夏の花と実・八方尾根8)

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八方尾根に咲いていたハッポウアザミ(キク科アザミ属)です。
手許の図鑑ではハッポウの名がついた植物が8種載っていて、そのうち7種が八方尾根特産種となっており、このハッポウアザミもその一つになっています。
茎は上部で分岐し、薄いクモ毛があります。頭花は主茎および長い柄の先に上〜横向きにつけ、総苞片は斜上または平開していて粘りません
アザミの仲間は各地に固有種があり、区別が難しいものですが、このハッポウアザミにはちゃんと名札がついていました。

ハッポウタカネセンブリ:八方高嶺千振(晩夏の花と実・八方尾根10)

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ハッポウタカネセンブリ:八方高嶺千振(リンドウ科センブリ俗)も八方尾根に生育する固有種で、北アルプス北部に分布するタカネセンブリの蛇紋岩変種とされています。
花径は1cmほどで、淡青紫色に濃青色の斑点があります。八方尾根には比較的多く生育しており、花は小さいが、よく分枝した茎の先に数個つくので、結構見つけやすい花といえます。

ミヤマダイモンジソウ:深山大文字草(晩夏の花と実・八方尾根11)

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白い5枚の花弁が不ぞろいで、下の2枚が長いため全体の花の形が「大」の字に見えるのでその名があるダイモンジソウは、各地の低山から高山までの湿った岩の割れ目などに生える多年草で、分布域が広いため変異の幅も大きく、様々な園芸種もつくられています。
八方尾根に咲いていたのはミヤマダイモンジソウ:深山大文字草(ヒキノシタ科ユキノシタ属)で、中部地方以北と北海道の高山帯の岩隙や斜面の草地に生え、高さ15~25cm、茎は根茎から2~5本がほぼ直立し、ほとんど毛はありません。葉は腎円形で大きさは2~3cm、花は茎の上部に5~10個がまばらにつきます。
ダイモンジソウより小形といいますが、区別は難しいようです。八方尾根に咲いているからミヤマかと思いながら歩いていると、ちゃんとそのように名札がついているのに出会いました。

ミヤマママコナ:深山飯子菜とミヤマコゴメグサ:深山小米草(晩夏の花と実・八方尾根12)

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八方尾根にミヤマママコナ:深山継子菜(ゴマノハグサ科ママコナ属)とミヤマコゴメグサ:深山小米草(ゴマノハグサ科コゴメグサ属)が混じって咲いていました。
ママコナの仲間は半寄生植物の1年草で、紅紫色の花冠は筒状で先は唇形となり、下唇は浅く3裂して内面に黄白の2条の隆起があるので、これを米粒に見立てて飯子菜の名があるといわれますが、別に未熟な種子が米粒に似ているからという説もあります。本州の山地帯〜高山帯と北海道西南部に分布し、苞に鋸歯がないところが、他地方のママコナと異なるといいますが、見た目での区別は難しいようです。

同じところに咲いていたミヤマコゴメグサは本州東北地方~近畿地方(日本海側)の山地帯~高山帯に
生える小形の1年草で、花は上部の葉脇に1個ずつつき、花冠は唇形で白に紫色の筋があります。上唇は長さ約8mm、下唇は長さ約1cmで3中裂し、中裂片に黄色の斑点と軟毛があります。
コゴメグサは小米草と書き、小さい白い花を小米に見立てたものです。亜高山帯~高山帯のものはすべて萼が鐘形のミヤマコゴメグサ群ですが、多くの変種があり学者によって異なる和名系図があるそうですが素人の手には負えないはなしです。

ミヤマタンポポ:深山蒲公英(晩夏の花と実・八方尾根13)

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八方池の周辺にミヤマタンポポ:深山蒲公英(キク科タンポポ属)が群生していました。
白山から日本アルプス北部、妙高、戸隠にかけての高山帯の岩礫地や草地に特産する多年草です。
タンポポの仲間はおもに総苞片の形や突起で区別されますが、ミヤマタンポポの総苞には突起がないのが特徴といい、舌状花の筒部の長さは約5mmで色が浅いというのですが、他種との区別はたやすくはないようです。
むしろ特徴があるように見えたのは、冠毛が車状についた果実でした。そう果は長さ3.5~4mmの狭卵形で淡褐色、先端は細く伸びて長さ8~9mmの冠毛柄になります。

ハッポウウスユキソウ:八方薄雪草(晩夏の花と実・八方尾根9)

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ハッポウの名がつく植物の多くは八方尾根特産種ですが、このハッポウウスユキソウ(キク科ウスユキソウ属)は、八方尾根と隣の遠見尾根でも確認されています。
ミネウスユキソウの変種とされ、茎葉が45~60°に斜上するところが、斜上しないミネウスユキソウと異なります。頭花は茎の先に多数つき、柄は殆どありません。
アルプスなどの高山に生えるエーデルワイスの近縁とされるミヤマウスユキソウの仲間は、名前を変えて各地の高山帯に分布していて、その区別は容易ではありません。

オオイタドリ:大虎杖(晩夏の花と実・八方尾根14)

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亜高山帯周辺に生える大形のイタドリはオオイタドリ:大虎杖(タデ科イタドリ属)です。低山から亜高山帯の砂礫地や道端などに群生することが多く、普通のイタドリよりかなり大きくて高さは3m近くになり、葉も大きく長さ30cmちかくになります。
葉の裏が白いこと、葉の基部がハート形になることが普通のイタドリとの見分けのポイントになります。
雌雄別株で、花期は7~9月です。
紅色を帯びる若芽はイタドリと同じように山菜として利用されます。

ミヤマナラ:深山楢(晩夏の花と実・八方尾根15)

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ミヤマナラ:深山楢(ブナ科コナラ属)が可愛い実をつけていました(9月1日撮影)。本州の中部地方以北の亜高山帯に生える雌雄同種の落葉低木で、積雪の多い日本海に多く、風当たりの強い斜面や尾根筋に多く生えます。
幹の下部は地に伏し、よく分枝して高さ1.5〜5mになります。互生する葉は長さ5~11cm、幅2.5〜7cmの倒卵状長楕円形で先はややとがり、基部はくさび状に細くなって短い柄に続き、ふちには鋭い鋸歯があります。
低地の普通のナラは、秋にさえない茶褐色に色づきますが、ミヤマナラの紅葉はかなりきれいなものです。(06年10月14日記事)撮影時青々していたミヤマナラも今は色づいているはずです。
8月30日~9月1日の五竜尾根、栂池高原、八方尾根で観察した植物をシリーズで紹介してきましたが、できるだけ多く取り上げようとしたため、ずいぶん長くなり、季節のずれも大きくなってしまったことをお詫びします。

シマツユクサ:島露草(島から北上?) 

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淀川の河べりの木の陰に色が淡くて少し小ぶりの花をつけたツユクサを見かけました。
場所が場所だけに、たまたま栄養不良か何かとも思いましたが、一帯に咲く花はみな同じなので別種と思って調べてみますとシマツユクサ:島露草(ツユクサ科ツユクサ属)だとわかりました。
ツユクサに似ていますが、花は淡紫色で小さく、苞の幅が狭く先が長くとがるので、苞の幅が広く先が短くとがるツユクサと区別できます。
果実はツユクサが2室であるのに対して,3室となっています。
名まえの“島”は九州、沖縄に分布することからきているようですが、最近では本州でも広く分布しているようです。

メガネツユクサ:眼鏡露草(白ぶち眼鏡の)

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ある植物園に咲いていたツユクサにメガネツユクサ:眼鏡露草(ツユクサ科ツユクサ属)の名札がありました。
花のサイズがツユクサとオオボウシバナの中間というメガネツユクサは、やや縮れた形状の花弁の端が白っぽくなっているので別名をフクリンツユクサ:輪露草ともいうそうです。草丈は30〜50cm、花期は6〜9月で、花と草丈がやや大型、花弁の縁が白いフリル状になっている以外はツユクサと同じようです。
園芸種として売られていますが、ネットには、「こぼれ種で良く増えて、抜くのが間に合わないくらいの生命力があり、 可憐だが増えすぎて困る植物でもある。」とありました。そんなことを知ると急に有難味が薄れました。

イヌゴマ:犬胡麻(イヌでもかわいい)

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秋の気配が漂いだした」淀川の河川敷にイヌゴマ:犬胡麻(シゾ科イヌゴマ属)が、今も花をつけていました。
果実がゴマに似ているが、利用できないことからこの名がありますが、イヌの名前がついてるおおくのさえない他の植物に比べて、花のきれいさからはこの名は少し可哀そうな気もします。
山野の湿地に生える多年草で高さは30〜70?、四角形の茎には短い下向きの刺上の毛があります。
7~8月、茎の上部に淡紅色の唇形花を段々に輪生します。
花は長さ約1.5cmで、下唇に赤い斑紋があります。

キイジョウロウホトトギス:紀伊上臈杜鵑(気品ある美しさ)

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六甲高山植物園で見たキイジョウロウホトトギス:紀伊上臈杜鵑(ユリ科ホトトギス属)です。
昔から紀伊半島南端の古座川、那智山、熊野川渓谷の岸壁に自生していた熊野地方特有の多年草ですが、いまや希少種となり環境省レッドリストの絶滅危惧IB類(EN)の指定をうけています。
良く似たものに母種といえるジョウロウホトトギスがあり、区別は、葉っぱの基部の両方に耳があるものがキイキョウロウホトトギスで、片方だけに耳があるものがジョウロウホトギスといいます。ジョウロウホトトギスは、本州紀伊と四国山地の深山の崖に垂れ下がって生え、ときに観賞用として栽培されています。
いずれも葉は左右に2列に互生、長さ7〜13cm、夏に咲く花は長さ4cmくらい、鮮黄色で内面に紫褐色の斑点があります。
和名は紀伊に生え、花が上品で美しいので宮中に仕える女官、上臈の美しさにたとえたものです。
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