白花
通常の紫花
毎年種をまいて育てているショカッサイ:諸葛菜(オオアラセイトウ・ムラサキハナナ)に白い花が咲きました。花芽をつける前から本来薄紫を帯びる茎葉が白っぽいので気になっていましたが、咲いた花を見るとやはり白色でした。
植物学的にはアルビノ(albino 羅"albus;白い + ino" 英: albinism)といわれる、光合成色素を合成できない突然変異個体ではないかと思われますが、このような個体は独立栄養が営めないため、種子中の栄養を使い切ってしまった時点で枯死することになるとありますので、観察を続けて、もし種子ができたら、来年蒔いて、どういう個体が出現するか見てみたいと思っています。
ところで、このショカッサイ:諸葛菜・オオアラセイトウ・ムラサキハナナ(アブラナ科オオアラセイト属)は、中国北部・中部の原産の1〜2年草で、江戸時代にはすでに栽培されており、わが国の気候に適応し、帰化植物と思えないほど広がり、場所によっては雑草化し群生しているくらいです。
別名が多く、かつそれらが実際にも平均的に使われていて、図鑑によって異なる名前が見出しになるのもこの花です。
ショカッサイ:諸葛菜の名は、三国志で有名な宰相諸 葛亮(孔明)が、軍隊の食料補給に利用したという言い伝えによるというのですが、唐代のころから蜀(四川省地で)で使われた諸葛菜という呼び名は、蔓青(まんせい:カブラ)であったそうですし、現在の事典でも、諸葛菜は蕪青の別名として、またべつに二月藍という野菜をさす場合があるとしているそうで、少なくとも諸葛孔明がどうこうという史実はなさそうです。諸葛菜の中国での別名は“菜種の花“を意味する「菜籽花」(ツァイツーホア)だそうです。
別の名のシキンソウ:紫金草は、1939年にある日本の軍人が、激戦地となった南京郊外で孫文の陵墓がある紫金山のふもとから記念に種子を持ち帰ったことにちなんで名づけたという話があります。また日中戦争期に出た生物学者の見聞記に、中国の線路沿いに咲くこの花の和名として記したというハナダイコン:花大根の名は、いまでも通用してはいますが、同じアブラナ科の多年草で花に香りのある(Hesperis matronalis L)にも使われているため、近年ではムラサキハナナ(Orychophragmus violaceus)が標準的に使われています。
3〜5月に咲く花は淡青紫ですが、濃淡があります。耐寒性が強く、低温にあわないと開花しません。紫色の花びらに金色の雄蕊で、アブラナ科の特徴である4強雄蕊が目立ちます。紫金草の名は案外こんなところから来ているのかも知れません。