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Channel: 新・むかごの日記
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クサギ:臭木(赤い衣のテルテル坊主)

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夏、名に似合わぬ香りのよい花をつけていたクサギ:臭木(クマツヅラ科、クサギ属)が(05年7月31日記事))、冬というのにまだ実をつけています。
果実は核果で、直径6~7?の球形、熟すと光沢のある深い藍色になります。5個の萼片は実が熟すにつれて濃紅色になり、深く裂けて星状に開きます。
枝先に一つだけ残った果実は、まるで濃紅色の衣を着たテルテル坊主のようでした。

ムカゴイラクサ:珠芽刺草(むかごは刺さない)

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道端に、冬になったというのにみずみずしい緑の葉をつけたムカゴイラクサ:珠芽刺草(イラクサ科ムカゴイラクサ属)がありました。
山地の陰湿地に生える多年草で、葉の脇にむかご(珠芽)ができるのが特徴です。
刺毛があり、蟻酸を含むので刺されるとひどく痛みます。
雌雄同株で茎の頂部に雌花穂がつきやや下部に雄花序がつきます。
茎に立派なムカゴがついていたのでおそるおそるとって口にしましたところ、口を刺されることもなくなく、少し甘みがあって、炒るなり煮るなりすれば食べられそうな気もしました。

ヒサカキ:記紀にも出現する實 

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神武天皇東征のおり、熊野から吉野に近い宇陀に到ります。
陣を張った“莵田の高城“(むかごの高槻11年12月22日記事)で歌われたという久米歌の一節に”…後妻が菜を乞わば、いちさかき實の大けくを こきだひゑね…“とあり、この”いちさかき”は)今のヒサカキ:ツバキ科ヒサカキ属)であるとされています。
歌は、古い妻が食べ物を乞うたらそばのき(今のカナメモチ)の實のように少しだけ削ってやれ、新しい妻が食べ物を乞うたらヒサカキの實のようにたくさん削ってやれ、と続くのですが、カナメモチの實も結構たくさんつくので、この例えの意味はよく分からないところですが、カナメモチの實には種子4個入るのに対しヒサカキの實には多数の種子が入ることをいっているのかもしれません。
本州の北端を除くいたるところの山地で見られるツバキ科ヒサカキ属のこの木の名は、榊より小さい葉なので“姫榊”がなまったものとか、榊でないので“非榊”から来ているなどの説があるともに、ヒサキ、ビシャ、ビシャギなど地方によって60種ともいわれるさまざまな呼び名があることでも知られています。関西ではビシャコとよばれることが多いようです。
関西以西では主に仏花となりますが、サカキの自生が少ない関東地方以北では神様にも供えられるといいます。

マメガキ:豆柿(木の上で黒く熟す)

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冬空に小さい実を鈴なりにつけた木が立っていました。
少し遠いので定かではありませんが、マメガキ:豆柿(カキノキ科カキノキ属)のようです。
東南アジア原産で、径1.5?ほどの液果は霜が降るころに黒褐色に熟し、甘くて餅に搗かれるなど一部食用にもされますが、若い果実を潰して柿渋を採るのが普通の用途とされます。

ヌルデ:白膠木(山で塩を摂る?) 

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美しく紅葉して山野を彩っていたヌルデ:白膠木(ウルシ科ウルシ属)も落葉して、あとに房状の干からびたような果実が残っています。
よく見ると果実に白い粉状のものがにじみ出ています。
この白粉をかぶった核果を舐めると酸味のある塩味がします。その成分はリンゴ酸カルシウムとのことで、吸収されやすいカルシウムとして、食品添加物などとして利用されているものと同じだそうです。
シオノキの別名のように、昔の人や戦時中など物資不足のおりには塩の代用に使ったというのですが、塩分が含まれていないので代用になったのかどうか疑問です。
もともと幹を傷つけて出る白色の樹液を器具に塗ったことからヌルデの名がついたとされ、ヌルデシロアブラムシが寄生してできる虫こぶの五倍子(フシ)はタンニンの含有率が高く薬用や染料に用いられかつては鉄漿にも使われ、また吸水しにくい材は器具や護摩木に、樹皮は染料に、果実は蝋の原料にと今では忘れられていますが昔は結構有用な木だったようです。

今年1年有難うございました 

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大震災、原発、大水害など不幸な事が多かった2011年も暮れようとしています。
その間、”むかごの日記“は、何とか7年目も続けることができました。
ひとえに皆様のご支援のたまものと感謝しております。
今年はこれで終わりますが、引き続き来年もよろしくお願いします。
皆様方におかれましては、めでたくご越年あそばされますよう、心よりお祈り申し上げます。

見事に晴れあがった今朝、霜が降り道端の草は、また違った美しさ見せていました。

謹賀新年

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明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

(写真の紅白カタクリは昨年4月3日愛知県豊田市足助町で撮影しました)

スイタクワイ:吹田慈姑(禁裏献上の味) 

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いつもお米を届けてくれる摂津の農家の方から正月用にとスイタクワイ:吹田慈姑(オモダカ科オモダカ属)をいただきました。
塊茎に角のような芽が出るので“お芽出たい”とおせち料理に欠かせない野菜ですが、なかでも吹田クワイは一般のものに比べると味がほっくりとして濃く、独特のほろ苦さの中にうまみがあり珍重され、
貝原益軒の「大和本草」にも取り上げられ、食通としても知られる大田蜀山人も美味なるものとして狂歌で歌っています。
江戸時代には、吹田が仙洞御所の御料地であったこともあり、菊の御紋のついた竹製の大名駕籠を模した献上駕籠に吹田クワイを乗せて本御所・仙洞御所、女御御所、大宮御所の四つの禁裏に献上したといわれます。
この貴重な野菜も、昭和30年代、吹田市内の水田の急速な宅地開発化と除草剤の多用化に伴い次第に姿を消してゆきます。
そこで昭和60年頃から「吹田くわい保存会」などの努力によって「なにわの伝統野菜」として保存・育成がはかられています。
頂いた吹田クワイ、普通のクワイに比べて姿は小ぶりですが、栗のような食感で結構なお味でした。

シロヤマブキ:白山吹(バラ科で4数性) 

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なかなか適当なブログ材も見つからない冬枯れの戸外で見つかったのがシロヤマブキ:白山吹(バラ科シロヤマブキ属)の黒い実でした。
白い花が咲く山吹という意味ですが、ヤマブキとは同じバラ科でも属が異なります。花や葉の感じは似てなくはありませんが、葉が対生、花弁や萼片が4個で、ヤマブキの互生、各5個とは容易に区別できます。バラ科の基本数は5なので、バラ科の中では少し異端です。秋に熟す果実(そう果)も一つの花に4個ずつ集まってつきます。
この黒く光る果実はいつまでも枝に残るので、初夏白い花と黒い実が同時見られて、よく生け花の花材になります。(05年4月25日記事)石灰岩地に限定されるので自生のシロヤマブキを目にすることは珍しいようですが、庭ではこぼれ種で自然に増えることがあります。

コオニタビラコ:小鬼田平子(混乱する名前)

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今日は七草粥の日です。
秋の七草は、秋の野に咲く七種の花と山上憶良が詠ったそのままの名で現代も通っていますが、春の七草の方は、その起源も諸説があり、また一般にいわれている、せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろの中で、現代でもそのままの名で呼ばれるのはセリ、ナズナだけとなります。
なかでも混乱しているのが“ほとけのざ”です。古い文献では七草の中にホトケノザとタビラコが両名並ぶのもあるそうで両者は別種とされることもあったようですが、七草のホトケノザを牧野富太郎がコオニタビラコと同定してからは、いまではこれが広く受け入れられています。
コオニタビラコ:小鬼田平子(キク科ヤブタビラコ属)となった旧ホトケノザは、水田に多い2年草で、田起し前の水田に放射状に平たく葉を広げる様子から田平子と名がつきましたが、ムラサキ科のキュウリグサも別名タビラコと呼ばれることからこれと区別するため、よく似たオニタビラコの小形ということでコオニタビラコが正式の名になったといわれています。くわえて、昔はサンガイクサ(三階草)といわれたシソ科の植物がホトケノザという名を得て、道端に多量に繁殖するようになってからは、七草のホトケノザは名前としては全く忘れられることになりました。
せっかく立派な名を持ちながら、他人に名を盗られただけではなく、オニの名までつくという悲しい運命をたどることになった仏の座は、いまではその数も少なくなって何やら寂しげです。

ウスタビガ(薄手火蛾)の繭(繭はきれいだが) 1月10日

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生駒山系高安山を歩いていて、きれいな緑色の繭が枯れ枝についているのに出会いました。
昆虫綱鱗翅目ヤママユガ科に属するガの繭とのことで、いわくありげな名前ですので調べてみると、ウスタビの手火とは提灯のことで、この木にぶら下がる薄緑色の繭の姿からきたとありました。別に足袋からとったという説もあるそうです。
あまりきれいな繭なので成虫の姿を期待して図鑑をあたりましたが、ユニークではあっても茶色の毛むくじゃらで、少しがっかりでした。

ヤブコウジ:藪柑子(光る果実) 

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寒い日が続き野に出ることも少なくなって、この日記もすっかりご無沙汰となっていました。
やっと出かけた野山も冬枯れで目立つものも少ない中で、木陰に赤い実が光って見えました。
ヤブコウジ:藪柑子(ヤブコウジ科ヤブコウジ属)の果実です。
やや乾いた林下にふつうにある常緑小低木で、冬に赤熟する石果は長く木に残ります。赤い実が美しいので、正月の鉢物として寄せ植えなどに用いられ、千両、万両などとともに十両と呼ば縁起物になっています。
ヤブコウジの呼名は山橘(やまたちばな)となっています。
大伴家持は “この雪の 消(け)残る時に いざ行かな 山橘の 実の照るも見む”(万葉集巻19−4226)と詠っています。
雪こそ積んでいませんでしたが、赤い実は確かに照り輝いていました。

パンジー:(昔は三色すみれ) 

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今の時期、どこの庭にも色とりどりのパンジー(スミレ科スミレ属)が咲いています。
ヨーロッパ原産のViola Tricolorを原種とし、これにいくつかの近縁種を交雑してできた園芸草花です。初期のころ花は小形で、Tricolorの名のとおり1個の花に紫、黄、白の3色を持っていたので三色菫と呼ばれていました。ゴッホと岡鹿之助の三色菫は有名ですが、いずれも1個で三色ではなく、いろいろな色の三色菫を扱っているようです。
今では大輪の単色が主流になり、サンシキスミレとよぶ人は少なくなり、もっぱらパンジー(ガーデンパンジー)で通っています。
そのパンジーの語源はフランス語のpenser(パンセ)=“考える”とされています。花の咲いている様子とも、蕾の時のややうつむいた形からきているともいわれています。
中央にあるブロッチといわれる黒い色模様が顔に似ていることから人面草といわれることにも通じているかもしれません。
ところで、英語の辞書でpansyを引くと、パンジーの花のほかに、にやけた男、女々しい男、ホモなど妙な意味があります。英米の園芸愛好家が、何か別の名前で呼んでいるかどうかまではわかりません。

アオギリ:青桐・梧桐(芽吹きの予感) 

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京都御苑閑院宮邸跡の庭アオギリ:青桐・梧桐(アオギリ科アオギリ属)の緑の1年枝の頂に立派な冬芽がふくらんでいました。
太い1年枝につく半球形の頂芽は、大きくて芽鱗は10〜16枚もあり、側芽は小さく半球形で、頂芽とおなじくチョコレート色でビロード状の毛が密生します。この大きい冬芽は枝先に集まってつく大きい葉を予感させます。
沖縄、中国、台湾、インドシナなど暖地に自生する高さ15mにもなる落葉高木で、大きい葉がキリ:桐に似て幹が青いのでアオギリの名がありますが、キリはゴマノハグサ科、アオギリはアオギリ科と両者は全く違う仲間です。
ところが漢字では本来アオギリは1字で「梧」、キリは「桐」ですが、梧桐と書いてもアオギリです。
「一葉落ちて天下の秋を知る」(淮南子・説山訓)は、アオギリのことですが、豊臣家の滅亡前夜を描いた坪内逍遥の戯曲「桐一葉」は、豊臣家の家紋のキリと、淮南子のアオギリを混同しているといえます。
とはいっても、キリとアオギリは姿かたちが似ているだけではなく、材が家具や楽器などに用いられることで共通しているので、同じ仲間と考えられてもおかしくはないといえます。
そういえば、子規門下の高弟であった河東秉五郎の俳号は“碧梧桐”、ここまでくればまぎれもなくアオギリです。
(アオギリの果実は2007年12月23日、花は2010年7月12日に取り上げています)

クマザサ?:隅笹(雪景色の中で)

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急に思い立って雪の金剛山に行ってきました。
きっかけは、ネット上の金剛山の山歩き記録にクマザサの茂った道を歩くなどの記事があったのを思い出し、雪をかぶったクマザサの写真を撮れないかという、我ながら気まぐれな思い付きでした。
クマザサは熊笹ではなく、冬季、に葉が乾燥して、縁に白色の隅取りができるのでこの名があります。寒い冬、独特の模様になるクマザサを雪の中で見たらどうなるか勝手にイメージを膨らませての金剛山でした。
クマザサ:隅笹(イネ科ササ属)は、本州中国地方、四国、九州地方に野生または野生化する、あるいは京都府に自生地があるといわれるが庭に栽植され、逸出して野生化しているなど、図鑑の表現はあいまいで生い立ちがはっきりしません。
ハキング道の両側につづく金剛山上のササは確かに白い縁取りがありましたが、庭に植えられているクマザサに比べ葉幅が細身であるなど少し違うような気もします。
クマザサほどではなくても、冬になると白く縁どられる笹はほかにもあるようですから、金剛山のササがクマザサかどうかは確かめられないままですが、雪の中のササの姿はまずまずのものでした。

カケス:懸巣(悪声でも美形)

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雪の金剛山ブナ林の遊歩道のすぐ近くで、カケス:懸巣(スズメ科カラス属)を間近に見ました。全体に葡萄色で、翼に白と藍との美しい斑があります。
きれいな姿に似ず、大きい奇声を発するなど鳴き声が悪いので知られていますが、ほかの鳥の鳴き声や物音のまねができる特技も持っています。
写真は、誰かが設けた餌箱に寄ってきたもので、純粋に自然の姿とはいえない不満が残りますが、それをおぎなって余りある美しい姿でした。

フウセントウワタ:風船唐綿(旅立ちの時)

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この数年来、こぼれ種で毎年に庭に生えてきているフウセントウワタ:風船唐綿(ガガイモ科トウワタ属)の丸い風船状の果実が割れて、中に白い冠毛をつけた種子が、今にも飛び出しそうな格好でずらりと待機していました。
もともとは南アメリカ原産の多年草で、日本では1年草として栽培されるトウワタ仲間で、トウワタの
唐は外国からの渡来種、綿は白い毛を持つ種子をワタに見立てた名前です。トウワタの果実(鞘)は先がとがった筆先のような形をしているのに対し、フウセントウワタは果実が風船状に丸く膨らむのでこの名があります。
行儀よく並んだ種子をそっと吹いてみると、一斉に風に乗って飛んでゆきました。

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新・むかごの日記第1集〜第7集(2005年〜201年)の品種別索引をアップしました。

各品種の記事は、索引にある掲載日を、このブログのカレンダーで検索すればご覧になれます。

ガガイモ:蘿藦・鏡芋(スクナヒコの船)

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古事記によると、大国主の神が出雲にいるとき「波の穂より、天乃蘿藦(かがみ)の船に乗りて、ひむし(蛾)の皮を打ち剥ぎに剥ぎて衣服にし、帰(より)り来る神あり」と少名毘古那の神の登場をかたっています。
蘿藦(かがみ)は今でいうガガイモ:蘿藦・鏡芋(ガガイモ科ガガイモ属)のことで、神様がガガイモの果皮を船にして、海の彼方より渡ってきたというのです。
そのガガイモの果実をとり上げたのが昨年12月3日の記事で、 その時はまだ完熟前で船になってはいませんでした。
2ケ月ほど後、同じ場所を通りかかると、つるはすっかり刈り取られていて、ところどころに雨に打たれてカビが生えたようなガガイモの果実が転がっていました。念のためにと、いくつか拾って帰りベランダに放り出しておいたのを思い出して、何日か経って見てみると驚いたことに、乾燥した鞘が割れて、種髪といわれる白く長い毛をつけた種子が、いっせいに飛び立ちそうになっていました。
ガガイモの種子に生える毛は、種子の先端から出ていて、珠孔(花粉管が入るところ)付近の種皮が変化してできたことが分かります。種髪といわれるこの長い毛とともに種子の形も扁平で風散布に適したものになっています。
ふっと息を吹っ掛けると種子はふわふわと飛び去り、あとに少名毘古那の神のかわいいお船が残りました。
(”かがみ”の漢字が出ていません)

ヤモリ:守宮(家を守るだけではなかった)

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公園の樹木表示として取り付けられている標識版の裏をめくって見ると、丸まって冬籠りをしているヤモリ:守宮(ヤモリ科)がいました。傍らにカメムシやマイマイの殻もみえます。
金具の形にそって丸くうずくまるヤモリの姿は、今年の干支の龍の子供にも見えました。
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