池面一面に広がったヒシ:菱(ヒシ科ヒシ属)が紅葉して、きれいな模様を織りなしています。
三菱などで知られる二方向の平行線が交差して出来た形「菱形」は、もともと縄文土器にも描かれた形を、後の時代に菱の実(葉とする説もある)にその形が似ている事から「菱文」と呼ばれるようになったといいます。そしてそのヒシの名は果実(または葉)が押しつぶされたように拉(ひし)げていることからきているといわれています。
池や沼などに生える1年草で、長い茎を水底からのばし、水面に放射状に葉を広げます。
葉柄の一部がふくらんで浮き袋の役目をしています。この部分や葉が緑色なのがヒシ、浮き袋の部分や葉の裏面が赤いのがメビシ、また果実にある鋭い刺が2個あるのがヒシ、4個あるのがメビシと区別されますが、写真の葉や浮き袋の赤いのは秋になって紅葉したとも考えられるので、果実の刺の数からここではヒシと見立てました。
ヒシの実の棘は萼片が変化したもので、忍者の小道具にも使われたことで知られています。
ヒシの仲間の果実は昔から食用にされ、ゆでた果実は栗のような味がするそうです。